✅ 株高の陰で円買い優勢、三重リスクが上値を抑制
💹 東京市場:株高の裏で広がる円買い圧力
東京市場では日経平均が大幅反発したものの、
為替市場では円買い圧力が優勢となった。
ドル円は午後に節目の151円を割り込み、
ユーロ円は175円台半ばから前半へ、
ポンド円も201円台後半から半ばへ軟化。
表面上は株高基調だが、
市場全体には不透明感と警戒ムードが色濃く残る。
💵 ドル売りの背景:QT停止と利下げ観測
ドル売りの主因は、パウエルFRB議長の量的引き締め(QT)停止示唆にある。
これにより、年内2回の利下げ観測が再び強まり、
米金利低下を背景としたドル安圧力が意識されている。
さらに、
- 米労働市場の減速懸念
- 中国人民銀行による元高方向の中心レート設定
といった要因が重なり、
米発のドル売りムードが再燃している。
💴 円買いの背景:政局不安とリスク回避需要
一方、円買いを支えているのは、
- 「高市トレード」の巻き戻し(政局不透明感)
- 米中対立再燃による地政学リスク警戒
- 安全資産としての円需要の再浮上
といった複合的要因。
米通商代表部(USTR)による301条調査と、中国の対抗姿勢が
市場心理を冷やしており、円買いの持続性が注目される。
💶 欧州通貨:政局・財政懸念が重石に
ユーロは、フランスの政局不安に加え、
スペインの防衛費問題を巡りトランプ大統領が関税発動を検討との報道が伝わり、上値を抑制。
英国では、スカイニュースが
「財務相が増税と歳出削減を検討」と報道。
これを受けてポンドが急落した。
通貨ペア | 動き | コメント |
---|---|---|
GBP/USD | 1.3373 → 1.3340台 | 財務相報道でポンド売り |
GBP/JPY | 約201.90円 | 乱高下続く |
EUR/GBP | 0.7991 → 0.8717 | ポンド安でユーロ高 |
📊 今後の注目イベント
- ユーロ圏鉱工業生産(8月)
- 米NY連銀製造業指数(10月)
- 米ベージュブック公表
- G20財務相・中銀総裁会議(〜16日)
- 米主要企業決算(モルガン・スタンレー、BoA、ユナイテッド航空など)
延期されていた米CPI(9月分)は10月24日に発表予定。
市場の関心はすでにそこへ移行しつつある。
💹 ロンドン市場サマリー
通貨ペア | 現在値 | コメント |
---|---|---|
USD/JPY | 150.98付近 | 円買い優勢、戻り売り圧力続く |
EUR/JPY | 175.30前後 | 欧州リスクで上値重い |
GBP/USD | 1.3345 | 財務相報道で下落基調 |
EUR/GBP | 0.8716 | ポンド安でユーロ高転換 |
✅ 総括:表面は株高、実質は「リスク回避型円買い」
株式市場は見かけ上の上昇を続けているが、
為替市場では政治・地政学・金融政策の三重リスクが上値を抑制。
QT停止示唆でドルが軟化し、
政局不透明感と米中対立が円買いを支えている。
当面は「株高の裏で円買い進行」というねじれ構造の中で、
神経質な値動きが続く見通しだ。