【為替週報】トランプ関税に市場は冷静対応──注目は日米交渉とユーロの動き
🇺🇸 トランプ関税発動へ、ただし市場は“慣れ”
トランプ米大統領は、日本を含むアジア数カ国に対し、最大25%の関税率を記載した書簡を送付しました。ただし、実際の発効は8月1日とされており、今後の交渉で修正・延期される可能性も残されています。
いわゆる「TACO取引」(Temporary Agreement for Continued Observation=一時的合意)と呼ばれるこの手法は、過去にも繰り返し使われており、市場はすでに一定の耐性を持ちつつあります。BRICS諸国からの非難も高まっており、米国がこのまま強硬姿勢を維持できるかどうかには懐疑的な見方も。
💵 ドル安進行の背景──米国リスクと信頼通貨の選別
今回の関税方針は、米国の中長期的な信用力に対する警戒感も呼び起こしています。
減税や国内産業保護による財政規律の緩みは、米国債の売り圧力を生み、結果的に「ドル安」トレンドを支える構造となっています。
市場は今、ドルの代替として信頼できる通貨を探しており、ユーロが相対的な優位性を持つ通貨として浮上しています。もしEUと米国の貿易交渉が早期に進展すれば、ユーロ買いに拍車がかかる可能性も十分あります。
💴 日米交渉の懸念と円売り圧力の兆し
日米貿易協議は当初、前向きな姿勢でスタートしましたが、依然として大筋合意には至っていません。石破首相が自動車産業の保護を譲らない姿勢を見せており、これが米側の苛立ちを呼び込む懸念も。
市場では、日本が米国との交渉に取り残されることへの警戒感から、**“円売り圧力”**が強まるリスクも意識されています。
📅 本日の経済指標と発言スケジュール(7月8日)
本日は大きな経済指標発表は控えめですが、以下が予定されています。
✅ 経済指標
- フランス経常収支(5月)
- ブラジル小売売上高(5月)
- カナダIvey購買部協会指数(6月)
🗣 発言・イベント
- ナーゲル独連銀総裁 × 中曽元日銀副総裁による対談
- 英仏首脳会談(~10日まで)
- 米3年債入札(580億ドル)
経済指標自体のインパクトは限定的なものと見られますが、関税関連報道や要人発言が出た場合には、相場が敏感に反応する可能性があります。
📝 本日の戦略メモ|通貨ペア別の視点は?
- USD/JPY: 米国債利回り高止まり&日米交渉次第で乱高下リスク、レンジは143.50〜145.00円意識
- EUR/USD: ユーロ高一服も、構造的に支援されやすく、押し目は拾われやすい
- GBP/JPY: 英政局不安とBOE利下げ観測で上値は重いが、185円を維持できるかに注目
- CAD/JPY: 原油反発と通商交渉期待で底堅さ継続。104円台は拾い場に
- AUD/JPY: RBAイベント通過後の調整が続く、材料出尽くし感あり
- ZAR/JPY: 政局安定期待と高スワップ継続で、静かな買いが優勢
🎯 まとめ|“冷静な市場”の先にあるのは…
トランプ関税報道は依然として相場の主題ではあるものの、市場はこれに対し冷静に反応しています。
次なる焦点は、7月9日相互関税通告と日米交渉の行方です。
週後半に向けては「日米間の意見対立」と「ドル安継続かの判断材料」に注目しつつ、ボラティリティの低下による短期逆張り戦略や、イベント後の方向感を狙ったブレイクアウト手法が有効になるでしょう。