ドル安継続の中、米求人件数と通商リスクに注目
~ ECBフォーラム・日銀人事も交錯する複合相場へ ~
✅ ドル安トレンドが鮮明に
今週の外為市場は、引き続きドル売り優勢の地合いでスタート。
- ドル円は143円台に定着感を強めつつあり、戻り売りが主導。
- ユーロドルは1.18台を一時突破し、上値追いの展開。
- ドル指数(DXY)は年初来安値を連日更新。
リスクオフ一巡後の緩やかな流れながら、確実なドル安傾向が進行しています。
🇺🇸 米国材料:雇用指標と通商問題が波乱の種に
● 本日の注目経済指標(NY時間)
今晩は米重要指標が集中。とくにJOLTS求人件数は雇用統計の先行指標として市場注目度が高く、サプライズがあれば米債利回り・ドル相場に即反応が予想されます。
指標 | 予想 | 前回 |
---|---|---|
ISM製造業景気指数(6月) | 48.8 | 48.5 |
JOLTS求人件数(5月) | 730万件 | 739.1万件 |
製造業PMI(確報値・6月) | – | – |
建設支出(5月) | – | – |
● トランプ氏の発言リスクも再燃
- 日米通商協議では「日本の自動車輸出」や「米国産米の扱い」などで強硬な姿勢を継続。
- 再び貿易摩擦の懸念が台頭。
- FRBに対しては、パウエル議長に利下げを再要求。政権からの金融政策圧力が市場心理に影響。
💴 日本材料:日銀人事で円高圧力も
本日午後5時、増・新日銀審議委員(元三菱商事)の就任会見が予定されています。
前任の中村氏がハト派だったのに対し、増氏がタカ派色を示す場合、
→ 「日銀のスタンス修正観測」=円買い要因に浮上する可能性。
🌍 国際要因:ECBフォーラムで主要中銀が集結
ポルトガルで開催中のECB年次フォーラム「変化への適応」では、各国中銀トップが政策を議論。
注目は「利下げサイクルの評価」と「ユーロ高容認姿勢」の有無。
登壇予定者(一部)
- ラガルド ECB総裁
- パウエル FRB議長
- 植田 日銀総裁
- ベイリー BOE総裁
- シュナーベル/ギンドス/エルダーソン 各ECB理事
また、5月の欧州消費者インフレ期待の発表も控えており、ユーロ相場の方向感形成に影響を与える可能性があります。
🔎 注目すべき今週のチェックポイント
分野 | 注目材料 |
---|---|
✅ 米指標 | JOLTS求人件数(7/1)、雇用統計(7/3) |
✅ 政治 | 日米通商協議の行方、関税通告リスク(7/9期限) |
✅ 中銀 | 日銀人事の政策姿勢変化、ECBフォーラムでの利下げスタンス |
✅ 市場テーマ | ドル安トレンドの持続性、金利差・政策期待の変化 |
🧭 総括:ドル売り持続のなか、材料次第で“踏み込み”も
今週は米雇用・日米通商・中銀発言と市場テーマが交錯。
政治と経済の材料が同時進行する中で、ドル安がどこまで進行するかに注目が移りつつあります。
「日米金利差の収束」「日銀スタンスの変化」「通商問題の再燃」などが重なる場合、
→ クロス円は方向感に乏しいが、ユーロ・ポンドなどのドルストレートでの攻防が活発になる展開が予想されます。