通商摩擦は沈静化、注目は政策判断と政局リスクへ
✅ 貿易リスクの後退:通商交渉に前進、地政学的懸念は一服
● 米欧が関税合意に到達
- 米国が一方的に警告していた関税30%案は撤回され、15%で双方合意
- 欧州株は好感し上昇。ただし、独仏では合意内容への不満も台頭
- 自動車関連銘柄では利益確定売りも見られ、ユーロに一時的な圧力
● 米中協議も継続へ
- 協議の延長が決まり、90日間の追加関税猶予措置が実施
- ストックホルムにて副首相級の実務者協議がスタート
✅ 為替相場:ドル堅調、しかし不透明感は根強く
● ドル円(USD/JPY)
- 通商不安が後退するなか、注目は金融政策と政局不安へ移行
- 金利差拡大期待+日本政局の不安定化(石破首相の進退報道)で円売り優勢
- ロンドン時間は148.16~148.74円の範囲で上下動、現在は148円半ばで安定推移
● ユーロドル(EUR/USD)
- 合意後の初動は限定的な反発。その後、独仏の不満や景気不安が重し
- 東京では1.1599 → ロンドンで1.1527 → 欧州時間に1.1580付近まで回復
- 景況感への警戒感がユーロの上値を抑制
● ポンドドル(GBP/USD)
- 東京での上昇後、ロンドンで失速 → その後買い戻しが入り「往って来い」の展開
- 高値1.3362 → 安値1.3316 → 現在は1.3350台、方向感には欠ける状態
🧾 米国指標・金融市場イベント
日付 | 内容 | 市場予想・注目点 |
---|---|---|
7/30 | JOLTS求人(6月) | 予想750万件(前回776.9万件) |
7/30 | 消費者信頼感(7月) | 予想96.0(前回93.0) |
7/30 | ケース・シラー住宅価格指数 | 米住宅市場の健全性チェック |
7/30 | 米2年・7年債入札 | 総額740億ドル、債券需給に注目 |
※FOMCを控え、FRBはブラックアウト期間中。要人発言なし。
🏛 金融政策の方向性と政局の不確実性
● 日銀(7月31日)
- 「利上げ見送りの可能性が高い」(朝日新聞報道)との報道で円売り加速
- 食料価格高騰などによるインフレ見通しの上方修正も視野に
● 米FOMC(7月31日)
- 金利据え置きが大方の見方
- 一部報道では、トランプ氏がパウエル議長へ直接利下げ要請
● ECB(欧州中央銀行)
- ドイツ銀「次は利上げの可能性」と示唆
- 各国の景況感・スタンスにばらつきがあり、市場の織り込みは分散
● 日本の政局
- 石破首相の進退が取り沙汰され、与党内の不協和音が意識される展開
- 外国人投資家の「日本売り材料」として警戒対象に
🔍 市場のムードと見通し
- 通商合意による安心感を背景に、ドルは引き続き強含み
- 一方で、今週はFOMC、日銀、米雇用統計(8/2)と重要イベントが連続
- 材料出尽くしによる「セル・ザ・ファクト(事実売り)」リスクにも留意
- トレンド発生前の神経質なレンジ推移がしばらく続く可能性
以下に、現在の相場状況を踏まえた主要通貨ペア(ドル円・ユーロドル・ポンド円)の戦略分析を提供します。サポート&レジスタンス水準、戦略方針、代替シナリオも含めています。
📊【戦略分析】主要通貨ペアの見通しとシナリオ分岐
💴 USD/JPY(ドル円)|148.55付近
📌 基本戦略:押し目買い優勢、ただし政策イベント前に神経質
- サポートゾーン:147.80・147.40
- レジスタンス:148.85・149.20
🔹 背景要因:
- 通商リスク後退で円高要因後退
- 日銀利上げ見送り観測、政局不安 → 円売り材料
- FOMCと雇用統計がドルの方向を左右
✅ 戦略方針:
押し目買い優先。147.80割れまでは買い目線維持。
ただし、148.85付近で上値重い場合は一時撤退も。
📉 代替シナリオ(リスク):
FOMCでタカ派色が薄い or 雇用統計悪化 → 一時的に147円台前半まで調整。
💶 EUR/USD(ユーロドル)|1.1585付近
📌 基本戦略:戻り売り優勢、指標と関税警戒
- レジスタンス:1.1610・1.1650
- サポート:1.1550・1.1500
🔹 背景要因:
- EU経済への不安と米欧協議の不透明感 → ユーロに上値抑制
- DXYが上昇傾向でドル買いが支配
✅ 戦略方針:
1.1610を背に戻り売り。利下げを意識するECBと米ドル強含みが基本構造。
📉 代替シナリオ:
ドイツ経済指標が改善、米指標が弱い → 1.1650トライもあり。
ただし、ここを抜けない限り戻り売り継続。
💷 GBP/JPY(ポンド円)|197.90付近
📌 基本戦略:上昇継続狙いも、高値警戒感強まる局面
- サポート:197.10・196.50
- レジスタンス:198.30・198.85
🔹 背景要因:
- 英指標は弱含みだが、円売り継続でポンド円は上昇基調
- リスクオン地合いがポンドを支える構造に
✅ 戦略方針:
197.10~197.50での押し目買いを狙う。198.30超えで勢い加速。
198.85は一旦のターゲットゾーン。
📉 代替シナリオ:
FOMC後の円買い戻しが出れば、197円割れで下落加速もあり。ストップ管理を厳格に。
📌 総括(シナリオチャート要約)
通貨ペア | 戦略方針 | 分岐ライン | 注目イベント |
---|---|---|---|
USD/JPY | 押し目買い | 147.80割れに注意 | FOMC、日銀、NFP |
EUR/USD | 戻り売り | 1.1650超えで撤退 | 米指標、EU関税交渉 |
GBP/JPY | 押し目買い継続 | 197.00割れに注意 | FOMC、英経済指標の反応 |