【円安の根強い背景】超長期債利回りの動きと為替市場の今後を読む
2025年7月上旬、東京市場では一時的に円高へ振れる場面も見られましたが、円安トレンドは依然として根強い動きを見せています。日本の超長期債利回りや海外市場のセンチメントを踏まえ、今後の展開を探ります。
📉 超長期債利回りの一時低下と再上昇
東京時間の序盤では、日本の超長期金利が一服したことを受けて円が買い戻され、ドル円は一時145円台後半まで下落。しかし、その後の20年債入札が無難に通過すると、再び債券売り（金利上昇）→円売りの流れが復活しました。
🔎 円安圧力の背景
- 米国の関税政策をめぐる先行き不透明感
- 参院選前の財源議論による国債増発懸念
- 日本国債からの資金流出傾向
これらの要素が**「日本売り」→「円売り」**の連鎖を生み、金利上昇と為替相場に影響を及ぼしています。
💱 為替市場：クロス円は依然円安基調
ドル円は146円台前半から145円台後半で上下に振れ、方向感に乏しい展開が続いています。ただし、ユーロ円・ポンド円・豪ドル円などのクロス円は軒並み上昇しており、円売り圧力の根強さが目立ちます。
一方で、ドルインデックスは7月に入り上値の重さが顕在化。21日移動平均線がレジスタンスとなり、10日線がサポートとして意識される形での揉み合い相場に移行しています。
📌 今週のドル相場の特徴
- 材料難の中で調整局面入り
- 米経済統計の発表が乏しく、手掛かり不足
- 中央銀行関係者の発言に注目が集まりやすい構図
🗓 今後の注目材料：経済指標と要人発言
本日以降、海外市場では以下の経済指標と中央銀行関係者の発言が予定されています。
経済指標スケジュール
- 🇹🇷 トルコ：鉱工業生産指数（5月）
- 🇿🇦 南アフリカ：製造業生産高（5月）
- 🇺🇸 米国：新規失業保険申請件数（予想23.5万件、前回23.3万件）
注目の要人スピーチ
- チポローネ（ECB理事）
- エスクリバ（スペイン中銀総裁）
- ビルロワドガロー（フランス中銀総裁）
- ムサレム（セントルイス連銀総裁）
- ブリーデン（イングランド銀行副総裁）
- デイリー（サンフランシスコ連銀総裁）：「米経済見通しとFRBの課題」についての講演で質疑応答あり。注目度高。
✅ まとめ：円安は一時調整でもトレンド継続か
今回の円高は、日本の金利一服と需給イベントの一巡により一時的に生じたものと考えられます。根本的な円安圧力――すなわち、財政リスク、金利差、通商政策の不透明感――は依然として解消されておらず、「戻り売り圧力」が強い地合いです。
為替市場では、ドルの動向よりもクロス円を中心とした円売り主導の動きが目立っており、今後のイベント次第では再び円安が加速する可能性もあります。
引き続き、政治・金利・通商の3要素を総合的に見ながら、冷静な相場判断が求められる局面が続くでしょう。