📘 日銀・植田総裁会見を通過、円安トレンドが一段と加速
―― 利上げ後もハト派色が残り、「材料出尽くし+失望」で円売り優勢 ――
■ 市場総括
日銀利上げと総裁会見を無難に通過し、円は売り直される展開
本日の日銀金融政策決定会合では、事前予想通り政策金利が 0.75%へ引き上げ られた。
利上げそのものはほぼ完全に織り込まれていたため、注目は 植田和男総裁の会見内容 に集中した。
しかし会見では、
- 追加利上げについて 具体的な時期・回数への踏み込みはなし
- 中立金利水準についても 依然として慎重な表現
- 「経済・物価動向を丁寧に確認」という従来スタンスを維持
と、市場が警戒していた“タカ派サプライズ”は見られず。
このため、会見通過後は 材料出尽くし+失望的反応 から円売りが再加速した。
■ 円相場:会見後に円安が本格化
会見を消化する過程で円売りは勢いを増し、
- USD/JPY:一時 157円台前半へ上昇
- EUR/JPY:184円台に定着
- GBP/JPY:210円台乗せ
と、円全面安の様相 が鮮明となっている。
市場の受け止めは明確で、
「利上げはしたが、その後の道筋は見えない」
「急ピッチな引き締めは期待しづらい」
という評価が優勢。
結果として、“利上げ=円高” という素朴な連想は完全に否定された形 となった。
■ なぜ円安が止まらないのか(整理)
今回の円安加速の背景は以下の通り:
- ✔ 利上げは完全に織り込み済み
- ✔ 総裁会見で 将来の利上げペースに踏み込まず
- ✔ 米国・欧州との金利水準・金利差は依然大きい
- ✔ 会合通過で イベントリスクが消滅
- ✔ 週末を前にした 円ショートの積み増し
つまり、
「利上げを材料にした円高」よりも「利上げ後の現実」を見た円売り が勝った構図。
■ ロンドン市場:円売りが持続
ロンドン時間に入っても円売りは止まらず、
- USD/JPY:157円台で高止まり
- クロス円も総じて堅調推移
と、会見後も円売りが継続。
短期筋・海外勢ともに「円を買い戻す理由が見当たらない」との見方が強い。
■ 今後の注目点:円安はどこまで許容されるか
短期的には、
- 日銀イベントを通過
- 週末・年末に向けた薄商い
という環境から、一段の急伸はやや慎重 になりやすい。
ただし、
- 米金利が高止まりしたまま
- 日銀がハト派的スタンスを維持
する限り、円安の基調自体は崩れにくい。
次の焦点は、
- 米金利動向
- 為替水準に対する政府・財務省の反応
- 年末に向けたポジション調整の方向
となる。
■ 現在の主要レート(会見後)
- USD/JPY:157円前後
- EUR/JPY:184円前後
- GBP/JPY:210円前後
✍ 総括コメント
日銀利上げと植田総裁会見を通過し、
市場は「利上げ後の日本」に冷静な評価を下した。
追加引き締めの明確な道筋が示されない限り、
円は“買われにくく、売られやすい通貨”であり続ける。
短期調整はあっても、円安基調は簡単には終わらない。


