【市場のボラティリティは沈静化へ向かうのか──恐怖と期待が交錯する局面】
― 関税停止と中国集中砲火で“米ドル売り”が軸に浮上 ―
■ 関税強行のショックから一転、ボラティリティはピークアウトの兆し
先週まで市場を揺るがせてきたトランプ政権の相互関税政策が、ついに一時停止に追い込まれました。
- 金・米国債という2大安全資産の同時売りという異例の展開で、市場はパニック状態に突入
- 株価は急落 → 米政府内部でも懸念が強まり、ベッセント財務長官が市場安定に動いた形
- トランプ大統領は**“これ以上の追加関税は控える”姿勢**を示唆し、相場は急反発
📌 ただし、米中対立という構図に変化はなし。期待と警戒の綱引き状態が続いています。
■ “買い戻し”もまたパニック──市場は一方向に走りやすい地合い
- 株式市場は下げ止まり、ゴールドも一定の落ち着きを取り戻す
- しかし、恐怖による売りも、期待による買いも“行き過ぎ”が目立つ状態
- 「恐怖の反転=過剰な楽観」となる構図には、依然として警戒が必要
🟨 当面のリスク:
- トランプ政権が**“関税完全撤回”ではなく、“一時停止”という形に留めた点**
- 再発の可能性を織り込む市場が、ボラティリティの持続性を保っている
■ 市場の焦点は“ドル売り”へ──関税ターゲットが中国に絞られた構図
マーケットはここにきて、「関税の対象=中国」へ一本化されたこと」に安心感を見出しつつある。
- 世界的な連鎖関税への警戒感が後退し、円やユーロの逃避通貨買いは一服
- しかし、「ドル売り」バイアスだけは持続しており、米政府の“意図的なドル安誘導”観測も根強い
📌 現在のメインテーマ:
→ 米ドル売り+中立〜軽いリスクオン回帰
■ 本日の注目材料:米CPIと中央銀行高官の反応をチェック
📊 経済指標スケジュール(本日)
指標 | 市場予想 | 注目度 | コメント |
---|---|---|---|
米CPI(3月) | 前年比 +2.5%(前回 +2.8%) | ★★★★☆ | 予想下振れなら、ドル売り圧力継続へ |
コアCPI(3月) | 前年比 +3.0%(前回 +3.1%) | ★★★☆☆ | 若干の鈍化予想。0.1%の違いでも反応可能性あり |
米新規失業保険申請件数 | – | ★★☆☆☆ | CPI次第では材料視されず |
トルコ・南ア・カナダの中規模指標 | – | ★☆☆☆☆ | ボラ影響は限定的 |
🗣️ 要人発言(注目)
- 豪中銀総裁、英中銀副総裁
- 米:ローガン、ボウマン、シュミッド、グールズビー、ハーカー
→ 関税ショック後の最初のコメント群、「様子見」姿勢が示されるかに注目
■ 戦略まとめ:ドル売り継続を主軸に、ボラティリティの収束を見極める展開へ
📌 短期〜中期のトレード戦略:
通貨ペア / 資産 | スタンス | ターゲット・補足 |
---|---|---|
EUR/USD | 買い維持 | 1.1100超えの定着狙い。1.1150〜1.1200が視野 |
USD/JPY | 戻り売り | 146.00〜146.50で重さ。145割れに再注目 |
GOLD | 押し目買い再開 | 再び2300超えを目指す。米利回り安定で上昇基調回帰 |
AUD/JPY | 状況を見て買い回帰 | 関税ターゲットから外れた安堵感。90.00台で押し目狙い |
DXY(ドル指数) | 売り目線継続 | 103.50を割り込めば次は102.80ラインへ |
✅ 総括:
テーマ | 評価 |
---|---|
トランプ関税 | 一時停止で安心感あるも、“再発の火種”は残る |
米ドル戦略 | 政策意図含め、ドル安主導相場が継続テーマに |
ボラティリティ | 一時的に沈静化も、材料次第で再燃リスクあり |
戦略方針 | 基本は“ドル売り主軸”、過剰反応には逆張り警戒 |