【神経質な値動き続く中、注目は英国発材料】
― ポンド売りが鮮明、GBP主導の相場展開へ ―
■ ドル円・クロス円は堅調、しかし上値追いには慎重姿勢
本日の東京市場は、ドル円・クロス円ともに底堅く推移。しかし、ドル円は前日の海外市場での下落分を取り戻すにとどまり、150円台後半での定着には至っていない。
神経質な値動きが続き、**「買い戻し主導の上昇」**という色合いが強い。
背景には、月末・期末を意識した外貨需要に加え、日本銀行・植田総裁の発言もある。
- 「経済・物価見通しが実現すれば利上げ継続」の基本方針を維持
- 一方で「一時的な食品インフレに金融政策で対応すべきでない」と発言
市場はこれを利上げに慎重姿勢と解釈し、円売りを再開する流れが優勢に。
■ 米金利は据え置き観測強まる、グールズビー総裁の発言に注目
米シカゴ連銀のグールズビー総裁は以下の通り発言:
- 「経済の不確実性により、利下げは想定より時間がかかる可能性」
- 「FRBは2023~2024年に見られた“黄金の道”から外れている」
この発言も、市場ではFRBの利下げが当面遠のく可能性として受け止められ、ドルの下支え要因となっている。
■ 本日のメイン材料は「英国発」:CPIと予算案が鍵
本日の主軸は英国からの重要経済イベント。2本柱で展開される。
① 16:00 英2月CPI(消費者物価指数)発表
- 総合CPI前年比:+3.0%(予想)=前回と同水準
- コアCPI:+3.6%(予想) vs 前回+3.7%
- サービスインフレ:+4.9%(予想) vs 前回+5.0%
→ 全体として小幅な鈍化見込み。ただし、いずれもBOEの物価目標(2%)から大きく乖離しており、引き続き消費を圧迫する構造に変わりなし。
→ 結果は予想を下回り、ポンドは大きく下落。BOEの5月利下げ織り込みは80%超に達しており、GBPは下値模索のフェーズへ。
② 21:00 英予算案提出とOBR経済見通しの発表(リーブス財務相)
- 歳出削減、企業増税、最低賃金引き上げなどが中心
- 経済成長率の引き下げ見通しも濃厚
→ 予算の方向性は中立~ややネガティブで、ポンドの一段安リスクに注意。
ただし、既に市場はある程度織り込み済みとの見方もあるため、下落は瞬間的で終わる可能性も。
■ 米指標は目先の材料として注目度は限定的
本日の米経済指標:
- MBA住宅ローン申請指数
- 2月耐久財受注(速報)
- 見通し:前月比 -1.0%(前回+3.2%)
- 輸送機器除く:前月比 +0.2%(前回±0.0%)
→ ネガティブなヘッドラインが出た場合も、ドル円には限定的な影響にとどまる可能性が高い。
■ 発言イベント・入札・石油在庫など流動性リスクは高め
【講演予定】
- 欧州:ビルロワドガロー(仏中銀)、クノット(オランダ中銀)、チポローネ(ECB理事)
- 米国:カシュカリ(ミネアポリス連銀)、ムサレム(セントルイス連銀)
【入札】
- 米2年FRN:280億ドル
- 米5年債:700億ドル
【統計】
- 米EIA週間原油在庫統計
→ いずれも相場を大きく動かす要因ではないが、流動性低下時間帯のストップ狩りなどには注意。
■ トレード戦略:ポンド売りスタンス継続
英CPIが予想を下回り、GBPは大きく反応。BOEの5月利下げが意識されており、戻り売りスタンスが基本線。
予算案内容が想定以上にネガティブなら、英ロンドン~NY時間にかけてもう一段の下落も視野に。
→ エントリータイミングを見極めながら、GBP/USD・GBP/JPYのショート構築を検討中。