【神経質な相場展開続く中、ポンドが急反発】
― 英CPIは軟化も、市場は利下げ織り込みを修正へ ―
■ ドル円・クロス円は底堅く推移、方向感には欠ける展開
本日の東京市場では、ドル円およびクロス円は堅調地合いを維持。ただし、ドル円は前日の海外市場で下げた水準を回復するにとどまり、150円台後半での伸び悩みが継続。
神経質な上下動を繰り返しながらも、実需や期末要因による買い支えが継続しており、相場はやや買いバイアス優勢のレンジ相場といった様相。
■ 植田総裁発言、金融政策は「利上げ継続が基本方針」も焦らず
日本銀行・植田総裁からは以下のような発言が伝わっている:
- 「経済・物価見通しが実現していけば利上げ継続」
- 「一時的な食品インフレには金融政策で対応すべきでない」
→ 市場はこれを**「性急な追加利上げはない」と解釈**し、円売りに繋がる流れに。
■ 英CPIは鈍化も、ポンドは買い戻し優勢へ
注目された英国2月CPIは予想通りインフレ鈍化を示したものの、市場の反応は意外な形に。
- 総合CPI前年比:+3.4%(前回+4.0%)
- コアCPI:+4.5%(前回+5.1%)
- サービスCPI:+6.1%(前回+6.5%)
→ 一見するとBOEの利下げ正当化方向と思われるが、ポンドは発表直後から急反発。背景には:
- 既に利下げを8割以上織り込んでいたマーケットのポジショニング
- 「想定通りの結果」で悪材料出尽くし → ショートカバー発動
- 米ドルが高止まりする中でも、GBPクロスで買い戻しが顕著
→ 結果的にGBP/USDは1.27台を回復し、GBP/JPYも191円台に乗せる動きへと拡大。
■ 英予算案はNY時間の焦点、市場はやや冷静な反応か
本日21:00(日本時間)には以下が予定されています:
- リーブス英財務相による予算案提出
- 英OBR(予算責任局)による春季経済見通し発表
想定される内容:
- 企業増税、最低賃金引き上げ、歳出抑制策など
- 成長率見通しは下方修正の見込み
→ 内容としてはポンドに中立~ややネガティブと予想されるが、本日のCPI通過後のポンド買い戻しでショートは巻き戻された可能性が高く、反応は一時的に留まる可能性もある。
むしろ買いが継続するかどうか、NY市場での動向を注視したい。
■ 米経済指標と要人発言も材料に:ただし影響は限定か
本日予定の米指標:
- MBA住宅ローン申請指数
- 米2月耐久財受注(速報)
- 前月比:-1.0%(予想) vs +3.2%(前回)
- 輸送機器除く:+0.2%(予想) vs ±0.0%(前回)
→ 市場へのインパクトは限定的な見通し。ただし、米長期金利の変動に連動したドル円の値動きには要注意。
【要人発言】
- ビルロワドガロー(仏中銀)、カシュカリ(米・ミネアポリス連銀)、ムサレム(米・セントルイス連銀)、チポローネ(ECB理事)ほか
【債券市場イベント】
- 米2年FRN入札:280億ドル
- 米5年債入札:700億ドル
【商品市場】
- 米EIA週間原油在庫統計
→ いずれもボラティリティを高める可能性があるため、NY時間後半の流動性低下には警戒感を持っておきたい。
■ トレード戦略:ポンドは「ショートカバーからのトレンド転換」に要注意
本日の急反発で、GBPはショートカバーを超えて「反発トレンド入り」の可能性も浮上。
今後は以下の点に注目:
- CPI下振れを受けた利下げ織り込みがピークアウトするかどうか
- 英予算案後、材料出尽くしでさらに買いが継続するか
- GBP/JPYは193円台が視野、GBP/USDも1.28トライの可能性
→ 現時点ではポンドの逆張りショートは慎重に。テクニカルで押し目を狙った短期ロング戦略も視野に。