【週明け相場:リスクオフ色強まる中、注目はトランプ関税と地政学リスク】
― 円高・株安進行、ゴールドは押し目買いスタンス継続 ―
■ リスク回避色が鮮明に、ドル円は一時148円台へ
週明けの東京市場では、リスクオフの流れが顕著。日経平均は一時▲1,500円超の大幅安、ドル円も148円台まで急落し、円買いが主導する展開に。
背景には以下の要因が重なっている:
- 米PCEデフレーターが予想を上回る → インフレ継続懸念
- しかし市場は「インフレと成長鈍化が共存するスタグフレーション」へ意識をシフト
- その結果、米債利回りは低下、ドルも売られるという従来とは異なる反応に
市場は「インフレ≠金利上昇=ドル買い」の構図から離れつつあり、「リスク資産売り・債券買い・円高」という純リスクオフのトーンが際立ってきている。
■ トランプ関税問題が再燃、相互関税の強硬姿勢が圧迫要因に
トランプ前大統領は、自動車関税に加え、相互関税(reciprocal tariff)の強化にも踏み込む姿勢を見せており、市場はこれを**「グローバルな貿易摩擦再燃リスク」として警戒**。
週明けのマーケットでは、これを受けて再び米金利低下・ドル売り・株安・円高のフローが強まる展開となった。
■ ウクライナ支援策に対する米国の要求拡大も地政学リスクとして台頭
加えて、米国はウクライナに対して:
- 港湾・鉄道・鉱物資源・エネルギーインフラへの投資管理権限を要求
- 両政府で共同基金を設立、米国は収益から支援金と利息(年4%)を回収
というかなり踏み込んだ要請を進めており、これは**「経済支援」と「資源利権」の境界があいまいな新たなリスク要素**として意識され始めている。
この内容は中・露・欧の地政学的緊張を高める方向に作用し、結果として安全資産である円やゴールドに資金が流入しやすい地合いを形成。
■ 欧州・NYタイムに向けて:まだ材料出尽くしとは言えず、緊張感継続
現時点ではドル円・クロス円ともに自律反発の余地は残すものの、戻り売り圧力も強く、方向感は限定的。
このあとの欧州・ロンドン時間も、以下の指標・発言イベントが予定されており、市場の神経質な反応が予想される:
📝 本日予定の主要指標:
- 🇭🇰 香港2月小売売上高
- 🇬🇧 英2月消費者信用残高・マネーサプライM4
- 🇿🇦 南ア2月貿易収支
- 🇩🇪 ドイツ3月CPI速報
- 🇺🇸 シカゴPMI(45.0予想 vs 前回45.5)
💬 発言イベント:
- ビルロワドガロー(仏中銀総裁)
- パネッタ(伊中銀総裁)
※英国・欧州は夏時間移行済み → 指標時刻が1時間早まっている点に注意。
■ トレード戦略:ゴールド押し目買い継続、円高トレンドに柔軟対応
- ゴールド(XAU/USD):リスクオフと地政学不安の強まりから、押し目は積極的にロング狙い
- サポート:2,210〜2,230、上値ターゲット:2,280〜2,300超
- ドル円(USD/JPY):短期的に148円台で下げ渋りも、151円超の天井感意識
- 材料次第では147円台再トライも視野
- 欧州通貨クロス:ECB・BOEの利下げ観測もあり、戻り売りスタンス有効(特にユーロ円・ポンド円)