先週末から週明けにかけて、マーケットは再び「政治主導相場」の色合いを強めている。
主役は経済指標でも企業業績でもなく、トランプ政権そのものだ。
焦点は大きく2つ。
1つは「FRBという制度の信頼性」
もう1つは「中東・北極圏まで視野に入る対外強硬姿勢」
この2つが同時進行で意識され始めたことで、市場は通常のリスクオン・オフとは異なる、不安定な神経戦に入っている。
■ 中央銀行の“独立”が疑問視される異常事態
パウエルFRB議長は、
司法省がFRBに対して召喚状を送付した事実を認め、
「前例のない、明確に政治色の強い動きだ」
と強い違和感を示した。
名目上はFRB本部改修費用を巡る問題だが、市場はこれを
「政策決定に対する間接的圧力」と見ている。
これは単なる一機関への調査ではなく、
米金融政策そのものの中立性が問われている
という意味を持つ。
通貨の信認に関わるテーマであり、ドルにとっては構造的なリスク要因だ。
■ 外交・軍事リスクが同時に点火
さらに緊張を高めているのが対外政策だ。
・米国がイランへの軍事行動準備を進めている可能性
・グリーンランドへの軍事的関与を示唆する報道
通常なら“飛ばし記事”として流されやすい内容だが、
トランプ政権下では市場が無視できない。
「実行されるかどうか」よりも、
「やりかねない政権である」という認識そのものがリスクになっている。
■ 市場の反応は“ドルからの距離調整”
初動で目立ったのは、
・ドル売り
・金・銀への資金集中
・米国債・株先物の同時軟化
という、極めて珍しい組み合わせ。
為替では、
ユーロドル・ポンドドルが反発
ドル円は一時急落するも、円安トレンドに支えられ再び戻す
つまり、
ドルは売られているが、円も買われていない
という複雑な構図になっている。
一方、クロス円は円安の流れが止まらず、
ユーロ円・ポンド円は史上高値圏を再び意識する水準へ。
■ 貴金属だけが“はっきりした答え”を出した
今回、最も明確なトレンドを示したのが金・銀市場。
・地政学リスク
・制度不信(FRB独立性)
・ドルの信認低下懸念
すべてが同時に意識され、
「安全資産の最終避難所は通貨ではなく、金属」
というメッセージを市場が突き付けた形となった。
価格は連日の最高値更新。
単なるリスクヘッジを超え、「通貨リスクからの逃避」に近い動きだ。
■ ドル指数は“制度不安”を映す鏡に
ドルインデックスは200日線を挟んで失速。
政治介入懸念が強まるたびに、
・米債売り
・米株売り
・ドル売り
が同時に出る構図が見え始めている。
これは通常の景気後退型の動きではなく、
「米国の制度そのものへの疑念」
が背景にある点が極めて重要。
■ これから市場が見ているもの
今後の焦点は明確だ。
・トランプ政権がFRBへの圧力をどこまで強めるか
・イラン・グリーンランド問題が単なる発言で終わるのか
・米金融市場が“政治リスク耐性”を保てるのか
さらに日本側では、
「高市政権による早期解散・財政拡張路線」
が円売りを継続させる要因として同時に存在している。
■ 結論
今の相場はこう整理できる。
- ドルは「世界の基軸通貨」から「政治に左右される通貨」へ一段格下げの不安
- 円は構造的弱さを抱えたまま
- 通貨の信認低下を補う受け皿が“金”
- 為替市場はもはや金利だけで説明できない局面に入っている
これは短期イベントではなく、
2026年相場の性格そのものを決める入口に近い動きと言える。
