💹 ドル円:戻りは限定、基調はなお下方向
── 日米の政策シフトが重石、反発はあくまで調整局面**
【1】前日の値動き:154円台後半まで急落 → NYで巻き戻し
前日はドル円が 154円台後半まで下落。
要因は以下の3点が同時に噴出したため。
- ビットコイン急落 → リスク回避で円買い
- 植田総裁「12月利上げ議論」 → 日銀タカ派シフトが鮮明化
- 米ISM製造業が悪化 → 米利下げ観測が急速に強まる
→ **日米金利差縮小(ドル売り/円買い)**が一気に進行。
NY市場では売られ過ぎの修正が入り、
155円台半ばまで反発。
東京でも一時 155.77円まで戻したが、
戻りは明確に鈍い。
【2】相場の本質:ファンダメンタルズは完全に「円高方向」
■ 日本:12月利上げ観測が一段と強まる
植田総裁は明確に引き締め寄りのシグナル。
- 「12月会合で金利調節を議論」
- 「円安が物価に悪影響」
- 「緩和調整を進める必要」
→ 利上げ前倒し(12月)を市場が本格的に織り込み始めた。
■ 米国:12月利下げ確率 87%へ
- ISM製造業(11月)悪化
- 景気減速の兆候
- FOMC参加者のハト派寄りコメント
→ CMEでは**利下げ確率が 35% → 87%**へ急騰。
■ 結論
日:利上げ → 円高
米:利下げ → ドル安
= ドル円は構造的に下方向。
短期の“戻り”はあくまでテクニカル要因で、
基調は既に円高トレンドへ傾斜し始めている。
【3】本日のテーマ:戻りを試しつつも、再び下方向へ
今日のドル円は、
① 156円台をどこまで維持できるか
② 再び 154円台後半を試すか
の二点が焦点。
指標材料に乏しく、
フロー(需給)+テクニカル が主役。
反発はあっても持続力は限られる見込み。
【4】今日の指標:米指標ゼロ → 欧州が主役
米国に重要指標はなく、為替市場の方向付けは主に“欧州側”。
■ 欧州
- ユーロ圏 雇用(10月)
- ユーロ圏 HICP速報(11月)
- 英金融安定報告 & ベイリー総裁会見
■ 新興国
- 南アGDP
- ブラジル鉱工業生産
→ 特にユーロ圏CPIが全体のトリガーになった。
【5】ロンドン序盤:円売り+ドル買いの組み合わせで上昇
ロンドン開始後はリスク選好へ傾き、
- ドル円:156.08
- ユーロドル:1.1603 → 下落
- ポンドドル:1.3201 → 下落
円売り + ドル買い のミックスでドル円は上昇。
ただし方向性は乏しく、
反発は“戻り売りの水準探し”の色が濃い。
【6】ユーロ圏データ:インフレやや強め、失業率悪化
→ ECBは中立、ユーロの方向感は限定的
| 指標 | 結果 | コメント |
|---|---|---|
| HICP前年比 | 2.2%(予想2.1%) | やや強い |
| コア | 2.4%(前回と同じ) | 方向性なし |
| 失業率 | 6.4%(悪化) | マイナス要因 |
→ ECBの早期利下げ否定に繋がるほど強くもなく、
“ユーロ中立”の結果。
ドル円のトレンドを左右するほどの材料ではない。
✔ 最終見解:ドル円は155円後半の戻りをこなし、再び下値模索へ
▼ 下押しバイアスの本質
- 日銀:利上げ前倒しの確率上昇
- 米国:利下げ観測の定着
- → 日米金利差縮小が一段と進む構図
▼ 買い戻しが入る局面も限定的
- ビットコインや株価のリスクオン
- 短期筋のショートカバー
- 米指標ゼロで本質材料が出ない
🎯 結論:
ドル円は156円台を維持しても、
再び“154円台後半”を試しに行く地合いが継続。
反発は短命で、戻り売りが優勢になりやすい1日。





