💹 ブラックフライデーの静寂とCME障害の余震
── 米国不在の中、相場の主導権は欧州へ**
米国がホリデー入りし、世界のマーケットは“音の少ない一日”を迎えている。
その一方で、欧州では主要指標が立て続けに発表され、
「米国が動かない日に限って欧州が騒がしい」 という構図が鮮明だ。
本日の相場環境は、
『薄商い × インフラ不安 × 欧州指標ラッシュ』
という特殊セットで形成されている。
【1】米国は事実上“週末入り”
─ ブラックフライデーで市場は機能低下、CME障害が追い討ち
昨日の感謝祭に続き、
きょうはブラックフライデーによる短縮取引。
米国では多くの投資家が休場し、
実質的に参加者は極めて少ない。
そこに加え、前日発生したCMEデータセンター障害の影響が尾を引く。
- コモディティ取引が広範囲でストップ
- 国際為替インフラ EBS も一時停止
- 主要銀行の価格提示が細り、板が薄くなる状態
復旧は進んだものの、
“取引が軽くても値が飛ぶ”典型的な薄商いリスクが残る。
【2】欧州が今日の相場の“中心地”に
─ 仏独を軸に、景気・物価・雇用が一斉発表
米国の音が止んだ一方で、
欧州では主要指標が集中する“ヘビーデー”。
■ フランス(インフレ & 個人消費)
- GDP確報(Q3)
- CPI速報(11月)
- 消費支出(10月)
- 生産者物価指数
仏インフレは欧州全体の逆風・追い風を左右するため、
ユーロの短期値動きに直結しやすい。
■ ドイツ(物価・小売・雇用)
- 雇用統計
- CPI速報
- 輸入物価
- 小売売上高
欧州最大経済の“健康状態”がまとめて出るため、
ユーロのボラティリティが最も高まりやすい時間帯となる。
■ スイス・北欧
- スイスGDP
- KOF先行指数
- スウェーデンGDP確報
ユーロ圏外でも景気指標が揃い、
欧州通貨全般が今日は主役級。
【3】北米指標は控えめ
─ カナダGDPが唯一の注目材料
米国が不在のため、
北米時間で存在感を持つ指標はほぼカナダGDPのみ。
- Q3 GDP
- 9月単月GDP
カナダドルは流動性が低い日ほど“ワンショットで値が動く”傾向があり、
今日はCAD特有の振れやすさが前面に出る可能性がある。
一方、南ア・ブラジル・メキシコなど新興国指標も並ぶが、
米国不在では“値が飛んだ時だけ反応する”程度に留まる見込み。
【4】発言イベントはごく限定的
─ 明日からFRBはブラックアウト期間
きょうはナーゲル独連銀総裁が登壇する程度で、
欧州以外の材料はほとんどない。
そして明日から、
FRBはブラックアウト期間に入り、
政策関連の発言が禁止。
→ 米国発のマーケット・インパクトは完全に消滅する。
✔ 総括:
方向感はないのに“荒れやすい”──ホリデー相場特有の逆説的な一日
今日の環境はきわめて特殊で、以下の条件が同時に成立している。
▼ 方向感を奪う材料
- 米市場がほぼ停止状態
- 新規材料は既に出尽くし
- 取引参加者が極端に薄い
▼ ボラティリティリスクを高める材料
- CME障害の余韻で流動性が削られている
- 欧州の大型指標が集中
- カナダGDPが“薄商いの中で発表される”危険構造
つまり、
“相場は動きにくいのに、動いた時は跳ねる” という、
トレーダー泣かせの一日になりやすい。
📌 本日の推奨スタンス
- 無理なエントリーは避け、欧州指標後の流れを見る
- CME関連の“飛び値”リスクを常に想定
- ポジションサイズは通常より落とすのが賢明
- 方向感よりフロー優先の地合い
