📘 日銀「12月利上げ」観測が連日報道──円高進行も、ロンドン勢の買い戻しで一服
FOMC・PCE・北米指標を控え、海外市場は“待機モード”が濃厚に
■ 1. 東京市場:日銀利上げ観測が連日で相場の主導役に
東京午後、ロイターは政府関係者の話として
「日銀は12月利上げに踏み切る公算が大きく、政府も容認へ」
と報じた。
これを受けてドル円は 30銭前後の円高 に反応したものの、
日中安値を更新する勢いには欠け、下落幅は限定的。
市場はすでに、
- 植田総裁「12月会合で利上げを議論」発言
- ここ数日の利上げ観測の高まり
- 今回の「政府容認」報道
を通じて、12月利上げシナリオを相当程度織り込み済み。
👉 円高は進むが、驚きによるショックではなく“織り込みの上乗せ”に過ぎない構図。
海外勢がどう反応するかが次の焦点となる。
■ 2. ロンドン序盤:円買いは一巡、ドル円は155円台へ反発
東京時間のドル円は 154.35〜154.55 まで下落し、
前日の安値 154.51 に肉薄。
しかしロンドン勢参入後はフローが転換し、
米金利の持ち直しとともに 155円台へ急反発(155.40〜155.99)。
値動きのポイント:
- 円買い単独では“続落に結びつかない”
- 需給の歪みが大きく、ショートカバーが入りやすい
- 「円高方向のバイアス」自体は維持
👉 “円買いモメンタム × 反発しやすいテクニカル” が同居する複雑な相場。
■ 3. FOMC前日──ドルは明確な方向を出せず、真の争点は「来年の利下げ回数」
本日の最大テーマは FOMC(9–10日)。
すでに市場は 12月25bp利下げを完全織り込み済み。
注目はむしろ “来年の利下げペース”。
| FOMCの結果 | 市場反応(概算) |
|---|---|
| ドット1回据え置き(タカ派) | ドル買い、ドル円は上方向 |
| ドット2回へ増加(市場寄り) | ドル売り再加速、ドル円下落 |
さらに、パウエル議長の会見の文言が極めて重要。
強弱いずれのトーンでも、市場は反応しやすい地合い。
👉 FOMCはドル円の“分岐点”。レンジブレイクはほぼ確実。
■ 4. 今夜の米指標:PCE(9月)は“鮮度が古い”が無視はできず
政府閉鎖の影響で今回のPCEは 9月分 とやや“古い”数字。
- PCE総合:2.8%予想(前回2.7%)
- PCEコア:2.8%予想(前回2.9%)
サプライズが出にくい一方、
**米利下げ確率87%**という過剰な織り込み環境のため、
もし予想を下回ればドル売りが再燃しやすい。
そのほか重要材料:
- 新規失業保険
- チャレンジャー人員削減数
- 個人所得・支出
- ミシガン信頼感指数(速報)
👉 雇用悪化がはっきり出れば、FOMC前にドル売りが再点火する可能性。
■ 5. 欧州・英国:ユーロは底堅く、ポンドは増税不透明感で上値重い
◎ ユーロ(EUR/USD)
- 一時 1.1677 まで上昇
- 円高主導の巻き戻しと、欧州PMI上振れが追い風
◎ ポンド(GBP/USD)
- 一時 1.3359 まで上伸
- ただし 英増税政策の実効性に疑義 → 上値は限定的
- 英30年債利回り「6%へ上昇」との推計も重石
■ 6. ロンドン序盤の市況:米金利の反発で“ドル買い戻し”
米10年債利回り
➡ 4.12% → 4.14%後半へ 上昇
これに合わせてドル買い戻しが優勢に。
- USD/JPY:155.46
- EUR/USD:1.1650台へ押し戻し
- GBP/USD:1.3319へ調整
株価は方向感に乏しく、為替のみが金利主導で小幅に動く展開。
■ 7. 今日の主要イベント一覧(要点)
◇ 欧州
- スウェーデンCPI
- スイス 雇用・PMI
- 英建設業PMI
- ユーロ圏小売売上高
◇ 北米(重要)
- 新規失業保険
- チャレンジャー人員削減
- PCE(メイン)
- カナダ雇用統計
- ミシガン信頼感(速報)
◇ 発言
- ECB:レーン、デギンドス、チポローネ
- 英BOE:複数メンバー
- FRB:ボウマン(政策発言なし)
■ 8. 本日の為替レート(ロンドン序盤)
| ペア | レート |
|---|---|
| USD/JPY | 155.40 – 155.99 |
| EUR/USD | 1.1645 – 1.1677 |
| GBP/USD | 1.3318 – 1.3359 |
| GBP/JPY | 206.73 |
| EUR/GBP | 0.8752 |
■ 9. 本日の結論:方向感はFOMC“後”まで出にくい
✔ 円高バイアスは継続
- 日銀12月利上げ観測はすでに相当部分織り込み済み
- 円買いは入るが“続落”にはつながりにくい構造
✔ ドルはFOMCが出るまで動けず
- ドット次第でドル円は 153円割れ も 158円台回復 もあり得る
- 現在はエネルギーを溜める“踊り場”
✔ 今夜の最大リスク
- PCE弱め → ドル売り再開 → 円高圧力
- 雇用指標弱め → FOMC前にドル安が進行する可能性
👉 市場は「静かな表面」と「FOMC前の張り詰めた圧力」が共存する状態。
ブレイクはFOMC後、一気に訪れる可能性が高い。





