💹 ドル売りの圧がじわり強まる流れ
── 米利下げ観測の急拡大、日銀タカ派思惑、さらに英予算案の思惑が相場を荒らす一日
【1】米国:市場が“利下げ先走りモード”に突入
米金融当局者が相次いで慎重姿勢を示したことで、
12月利下げ期待は一気に85%前後まで跳ね上がった(CMEベース)。
先週の30%台とは別世界で、
実体経済よりも、コメントひとつで市場が大きく振れる神経質なフェーズに入っている。
ドルの戻りは弱く、上値に蓋がかかった状態が続きやすい。
【2】円サイド:日銀の“12月利上げ観測”が再浮上
ロイターが報じた日銀観測は市場の空気を一変させた。
「日銀がタカ派メッセージを発し、12月の利上げに備えさせる可能性」
さらに、
労働組合からは
「円安と物価高が賃上げ効果を食い潰す」
と政府への圧力が強まる構図。
ただし、
円キャリー(低金利を使った円売り)という“構造的円売り”は依然として強力で、
“円高に振れやすい材料が出ても、急騰にはつながりにくい”という難しい環境が続く。
【3】オセアニア通貨が主役に:豪ドル・NZドルの買いが米ドルを押し下げる
- 豪CPIが予想を上振れ → 豪ドル買い再燃
- NZ中銀は利下げ実施も「打ち止めシグナル」でNZドルが急反発
この“オセアニア通貨高”が米ドルの相対的弱さにつながり、
ドル売りをさらに後押しする展開に。
【4】地政学×商品市場:金の上昇がドル安・円高の後押しに
日中関係の緊張が高まり、
安全資産としての金が再び買われている。
- リスク回避 → 金買い
- 金高 → 一般的にドル安・円高方向へ波及
全体のムードは“ややリスクオフ寄り”に傾いている。
【5】英予算案前の“ポンド急騰”──だが長続きせず
最大のサプライズはここ。
■ 英OBRが財政見通しを大幅に上方修正
- 2029-30年度 財政黒字:217億ポンド(前回予測:99億ポンド)
市場はこれをポジティブと受け取り、ポンドが瞬時に噴き上がった。
- GBP/USD:1.3151 → 1.3201
- GBP/JPY:206.45円まで上昇
- EUR/GBP:急落(ユーロ売り優勢)
ただし買いは続かず、
英秋季予算案(日本時間21:30)を前に“イベント待ち特有の荒い値動き”に逆戻り。
■ 注目のポイント
- 財政赤字約200億ポンドの埋め合わせはどこか
- 所得税の増税封印で、他の歳入策が市場信認を得られるか
- 内容次第で急伸・急落どちらもあり得る
➡ 本日のボラティリティの中心はポンド。
【6】今夜の米指標:雇用関連が最重要
- MBA住宅ローン申請
- 耐久財受注(速報)
- 新規失業保険申請 ← 今夜の目玉
- シカゴPMI
特に失業保険は、
“利下げの正当性”を測るうえで重要で、ドルの方向性を左右しやすい。
【7】要人発言:ECB勢のコメントが相場をさらに揺らす
欧州サイドは発言イベントが密集。
- ミュラー(エストニア)
- ブイチッチ(クロアチア)
- レーン(ECBチーフエコノミスト)
- ラガルド総裁
ユーロは一方向に動きやすい地合いで、乱高下リスクに注意。
✔ 総括:ドル売りが優勢でも、ドル円は“深押ししづらい”独特な相場
今日の材料を整理するとこうなる。
▼ ドル売りを誘う材料
- 米利下げ観測が急拡大
- 豪・NZ通貨高
- 金高
- 地政学リスク
- 英予算案前のフロー
▼ 円買いにつながる要因
- 日銀タカ派観測
- 連合の円安批判
- 地政学リスクによる円の“安全資産扱い”
▼ なのにドル円が崩れにくい理由
- 円キャリートレードが依然として強い
- “円売りが基本線”という流れが維持されている
💡 結論:
ドル売りムードは強いが、ドル円は急落しにくい。
一方、ポンドが“本日の乱高下の中心”になる可能性が極めて高い。





