ドル円の底堅さは続くか――金利と政策発言を見極める一週間
対象期間:2026年9月28日〜10月2日/次週の見通し:10月5日〜10月9日
来週の判断軸は「ニュースの内容」より「市場の反応」
来週の為替市場で重視したいのは、経済指標や政策発言を受けて、米国の金利と為替がどのように動くかです。
弱い指標が出ても米金利が下がらなければ、ドル売りは長続きしない可能性があります。逆に、FRBの引き締め姿勢が意識される内容でも、金利が上昇しなければドル買いの勢いは限られるでしょう。
先週のドル円は、米雇用統計後の下落を取り戻しました。この底堅さを踏まえつつも、円安を警戒する当局発言によって相場が急変するリスクには備えておきたいところです。
雇用統計で下げても、ドル売りは続かなかった
9月28日から10月2日にかけてのドル円は、156円台から158円台の間で方向を探る展開となりました。米金利の上昇がドルを支える一方、日米当局による円安への牽制が上値を抑え、売買の材料が入り交じりました。
日銀の「主な意見」は、短期間で利上げを重ねる姿勢を示したものではないと受け止められました。これを背景に、ドル円は1日に158.45円付近まで上昇しています。ただ、東京都区部の物価上昇や当局の発言を受けて円が買われる場面もあり、一方向の上昇にはなりませんでした。
週末の米雇用統計は弱く、発表後には156.95円まで下落しました。しかし、その後は米国債利回りの持ち直しなどとともに157.90円台へ回復。雇用の弱さが確認されても、ドル高を反転させるほどの売りにはつながりませんでした。
この動きから、来週も米長期金利の水準と変化が、ドル円の重要な判断材料になります。
米国ではサービス業の強さとFRBの認識を確認
米国の注目材料は、5日のISM非製造業景気指数と、9月会合分のFOMC議事録です。
ISMでは、サービス業全体の景況感だけでなく、雇用と価格の項目も確認したいところです。雇用統計に続いてサービス業にも減速が見られるのか、それとも景気が鈍るなかでも物価圧力が残るのか。この違いは、金融政策の見通しに影響します。
FOMC議事録は、日本時間8日午前3時に公表予定です。追加利上げの必要性について、委員の間でどの程度の認識が共有されていたかが焦点になります。
ただし、議事録に記録されているのは、今回の雇用統計が発表される前の議論です。その後の指標やFRB当局者の発言も合わせて読み解く必要があります。
早期の追加利上げへの期待が後退しても、エネルギー価格やインフレへの懸念が残れば、米金利は下がりにくくなります。景気指標の弱さだけを根拠に、ドル売りの継続を判断するのは難しい局面です。
日本では金融政策と財政政策の両方に注目
国内では、5日の高市首相の所信表明演説、6日の植田日銀総裁の発言が主な注目材料です。
首相演説では、食料品の消費減税を含む政策の具体像と、財源の説明を確認します。日銀総裁の発言では、追加利上げに対する姿勢が変わっているかがポイントになります。
さらに、7日の実質賃金、8日の地域経済報告、9日の家計支出も、国内景気を判断するうえで見逃せません。
日本の長期金利が上昇した場合は、その理由にも目を向ける必要があります。利上げ期待による上昇と、財政への懸念による上昇では、円相場への意味合いが異なるためです。
ドル円については、価格水準に加えて上昇の速さも確認したいところです。短時間で円安が進めば、当局の牽制や介入への警戒が強まり、買いが続いていても急落する可能性があります。
各通貨の反発をどう見極めるか
ユーロ・ポンド:ドル以外の材料にも目を向ける
ユーロドルは、米金利の動向に加え、欧州のエネルギー供給への不安や、フランスの財政・政治問題に左右される状況です。ドル買いが弱まっても、欧州側の懸念が解消しなければ、ユーロの戻りは限定的になる可能性があります。
ポンドには、英国GDPの上方修正という支援材料がありました。一方で、成長の鈍化、インフレ、財政を巡る不安は引き続き残っています。英国とEUの関係に関わる政治的な動きも確認しておきたいところです。
また、ユーロに対するポンドの強さが、そのまま対ドルや対円での上昇につながるとは限りません。通貨ペアごとの材料を分けて考える必要があります。
豪ドル・ランド:物価上昇と景気への負担が交錯
豪中銀は政策金利を4.60%へ引き上げましたが、追加利上げに慎重な姿勢が意識され、豪ドルを押し上げる材料にはなりませんでした。
来週も豪ドルは、米金利と投資家のリスク選好の影響を受けやすいと考えられます。豪ドル円を取引する際は、豪州の材料だけでなく、ドル円の急な変動にも注意が必要です。
南アフリカ・ランドでは、燃料価格の上昇が物価を押し上げる一方、景気への負担にもなっています。インフレと景気悪化の両面が、相場の重しとなる状況です。
加ドル:雇用統計と原油が政策見通しを左右
加ドルには、米加の貿易摩擦と労働市場の弱さが懸念材料として残っています。
9日のカナダ雇用統計では、雇用の減少や賃金上昇の鈍化が続いているかを確認します。原油価格の動きも合わせて、カナダ中銀の政策見通しに変化が生じるかを見極めたいところです。
10月5日〜9日の注目スケジュール
時刻は日本時間です。
| 日付 | 主な予定 |
|---|---|
| 10月5日(月) | 高市首相の所信表明演説/米ISM非製造業景気指数(23:00) |
| 10月6日(火) | 植田日銀総裁・片山財務相の挨拶/米貿易収支 |
| 10月7日(水) | 日本の実質賃金/米週間石油在庫統計 |
| 10月8日(木) | FOMC議事録(3:00)/日銀地域経済報告/ECB議事録/米新規失業保険申請件数 |
| 10月9日(金) | 日本の家計支出/カナダ雇用統計(21:30)/米ミシガン大学消費者信頼感指数(23:00) |
※発表日程・時刻は変更される場合があります。
売買では初動を追わず、金利と値動きの整合性を確認
来週は、指標発表直後の動きだけで売買の方向を決めず、その後の金利と為替の反応を確認してから判断する方針です。
ドル円には下落後に買い戻される強さが見られますが、円安への牽制による急落にも注意が必要です。上昇を追う場面では、反転した場合の損失を先に考えておきたいところです。
ユーロや豪ドルが上昇した場合も、一時的な買い戻しなのか、相場の方向が変わり始めたのかを見極めます。
複数の通貨ペアを保有する際には、ポジション数だけでなく、ドルや円に対するリスクの合計も確認します。異なる通貨ペアでも、同じ方向のドル売りや円売りが重なれば、相場急変時の損失が集中するためです。
今週の運用記録:+33,269 USDで終了
9月28日〜10月2日の週間損益は、+33,269 USDとなりました。
収益の中心はBTC/USDでした。EUR/JPY、NZD/CAD、AUD/USDでも利益を確保し、GOLDで発生した大きな損失を吸収する結果となっています。
週末までにAUD/USDをすべて決済し、GOLDもストップアウトとなったため、保有ポジションはゼロになりました。来週は新たな指標と政策発言を確認しながら、ポジションを組み立てていきます。
あとがき
チャートを見ながら「あと少しだけ」と思っていたら、いつの間にか夜遅くなっていた。そんなこと、ありませんか。米国の経済指標がある日は、発表後の動きまで気になりますよね。でも、相場と長く付き合うために、眠る時間にもきちんと目を向けていきましょう。
夜の画面を見る習慣については、具体的な研究があります。Changさんたちが2015年に学術誌『PNAS』で報告した研究では、健康な若い成人12人に、寝る前の約4時間、光を発する電子端末か紙の本で読書をしてもらいました。それぞれの条件を5晩ずつ試して比較したところ、電子端末を使った場合は、眠りにつくまでの時間が平均約26分、紙の本では約16分でした。電子端末を使った翌朝には、眠気も強くなっていました。
約10分の違いと聞くと、小さく感じるかもしれません。ただ、この研究では睡眠に関わるホルモンのメラトニンが出始める時刻にも、約1時間半の遅れが見られました。夜に画面を見続けることは、単に寝る時間を削るだけでなく、体の睡眠リズムにも影響する可能性があるんですね。
もちろん、12人を対象に、寝る前に約4時間も端末を使った実験です。短時間スマートフォンを見ただけで、誰にでも同じ変化が起きるとは言えません。それでも、夜のチャート確認に区切りをつける理由として、覚えておきたい結果です。
睡眠時間については、Watsonさんたちが2015年に発表した米国睡眠医学会と睡眠研究学会の共同声明で、成人は健康のために日常的に7時間以上眠ることが推奨されています。こちらは一つの実験結果ではなく、複数の研究を検討してまとめた専門家の提言です。必要な睡眠時間には個人差がありますが、「相場を見るために睡眠を削る日が続いていないか」を振り返る目安にしましょう。
FXでは、エントリーや損切りの条件を決めますよね。同じように、「今日は何時に画面を閉じるか」も決めてみましょう。気になる材料はメモに残し、翌朝に確認できるものは翌朝に回す。寝床に入ってから、もう一度チャートを開く習慣にも区切りをつけたいですね。
睡眠を整えれば利益が増える、という研究ではありません。ただ、トレードを続ける私たちにとって、健康を守る時間も大切です。来週も、資金を守るルールと一緒に、自分が休むためのルールも育てていきましょう。





